椎ちゃんに捧げます!!!(相互記念)

指が綺麗な女の人が好きだ。

長くてしなやかで、よく手入れのされた指。ネイルアートなんてもってのほか。いくら綺麗でも、その為に無駄に伸ばされた爪を見ると萎えてしまう。

私がこんなことを思うのは、「女の人にはやさしく触れなければならない」と常に強く感じているからだと思う。女の人はイチゴのショートケーキみたいに繊細で可愛いものだから、そっと壊れないように触れなければ、と。

だから美しくない指で触れられるのは嫌なのだ。想像するだけで鳥肌が立ってしまう。


そんなことを隣に居るリンちゃんに話したら、難しい顔をして何かを考えはじめてしまった。


「女の人の指じゃなきゃダメなの?」

「そうだよ。ゴツゴツしてるの無理」

「ふぅん…」

と言うと、また何かを考え初めた。

私はそんな彼女を素直に可愛いと思う。
こう言うときの彼女は、私のことで頭がいっぱいに違いないからだ。


その証拠に、さっきから自分の指と私の顔をちらちらと見比べている。しかも真剣な顔で。…かなり面白い。


「…」
「…」

沈黙が続く。けれどこの間、リンちゃんの首は忙しなく動いている。



リンちゃんは私が気づいていないとでも思っているのだろう(というか、そんなところまで気が回らないのだろう)。だから私も気づかない振りをしてあげる。

そしたら今度はぶつぶつ何かを呟き始めた。よく耳をすませば、「爪磨き…」とか「甘皮…」とか言ってるのが聞こえた。

面白い、面白すぎる。
笑いをこらえるのが大変だ。

しかし同時に、どうしようもなく込み上げてくる愛しさ。

好きとか愛してるとか、めったに口にしない私だけど、言いたい気分にさせてしまう彼女は魔性だと思う。……私が好きすぎるだけか。

でもただ単に「好きだ」と伝えるのは癪だし、芸がないと思う。


だから私は考えた。

「…ねぇ」

「ふぇっ?」

急に話しかけられて驚くリンちゃんの手を握る。

そして、彼女の目をじっと覗き込んで、言うのだ。

「…リンちゃんの指は、綺麗だよ」


「……? ……!!」


数秒してからその言葉の真意に気づいたらしい彼女は、耳まで真っ赤になった。


end

椎ちゃんに捧ぐミクリン。
指云々は某小説に触発されました。従って私自信が指ふぇちとかそういうわけではありません。

2011年9月16日